勉強ばかりしてるとつまらない人間になってしまうらしい。だから彼女は勉強をやめた。
こんにちは、土谷愛です。
今日もコンプレックスを才能に変えたお話を紹介します。
”勉強好き”コンプレックスを乗り越えたYさんの話
今から紹介するのは
「勉強が好き」という本音を
バカにされ、隠し続けて生きてきた
とある女性の話です。
共働きだった両親との思い出は勉強だった
彼女は子どもの頃から勉強が好きだった。
お父さんもお母さんも働いてたから
学校から帰ると家には一人っ子の自分だけ。
周りからは
「家にひとりなんて寂しくないの?」
とよく言われたけど
不思議とそこまで寂しくはなかった。
彼女はイキイキと働いている両親を心から尊敬していたし、カッコいいな、といつも憧れた。
大きくなったら自分もこんなふうになりたい。
幼い彼女の目によく映っていたのは
書斎で本を読む父の姿や
料理をしながら英会話の音声を聞いている母の姿。
二人は忙しそうで、
だけど楽しそうで
とてつもなく魅力的だった。
いつも学び続ける2人を見ていたから
どうすれば両親のようになれるのだろう?
と考えたとき、
「勉強すること」がとても自然にすんなりと選択肢の中に入ってきた。
だから幼いころから、
彼女はよく勉強をしていた。
別に義務感でもなく、
純粋に勉強は好きだった。
まだ知らないことを新しく知る瞬間はいつもわくわくしたし、
夜寝る前には
その日勉強したことを両親に話して
ひとつひとつ楽しそうに耳を傾けてくれる顔を見るのも好きだった。
けれどある日、
彼女のそんな純粋な感情にふたをしなければならない日がやってくる。
勉強ばかりしてるとつまらない人間になってしまうから
彼女が中学生になったばかりのある日のこと。
授業が始まる前の休み時間に
本を読んでいたら、ふいに同級生に声をかけられた。
「うわーこの子読書してる。見てよ」
それは明らかに好意的な言葉ではないことは、彼女にもすぐに理解できた。
そして何人かのクラスメイトが寄ってきた。
「ホントだ、まじめかよ」
「いい子ちゃんだねー」
口々にからかうように言われて
悲しくなって本を閉じた。
その日から彼女は
”まじめな優等生キャラ”を周囲によくいじられるようになった。
「また本の話?ほかに話すことないわけ?」
「あんた勉強ばっかしててマジつまんない」
冗談っぽい口調だけれど、
心ない言葉と笑いが
彼女の胸にグサッと突き刺さる。
そうか。
友達は私と話しててもつまらないんだな、
勉強ばっかりしてたら
つまらない人間になっちゃうのかな…
もっと周りの人に合わせないと
友達がいなくなっちゃうよね…
悲しい気持ちの中、
彼女はそっと心にふたをして
「勉強が好き」という気持ちを封印するようになった。
それからというもの
常に「周りに合わせること」が
彼女の中で何よりも優先順位の高い事柄になった。
おこづかいでは
本じゃなくて、ファッション雑誌を買って読むようになった。
流行りの音楽を聴くようになった。
部活帰りにコンビニでお菓子を買い食いしながら友達と何時間も喋った。
クラスのみんながそうしていたし、
きっとそれが”普通”の青春だから。
常にトップクラスだった成績は徐々に下降していった。
共働きで忙しい仕事が続いていた両親は何も言わなかった。
「勉強より大事なことがたくさんあるはずだから」
彼女は自分にそう言い聞かせるようになっていた。
「お前には自分がないのか?」と怒鳴られた日
時を経て、大学を卒業した彼女は
営業職として就職した。
名もないベンチャー企業だったけれど、
会社の理念に惹かれて入社したのだった。
社会人として基本的なことを習った後は
すぐに現場に営業に行くことになった。
新たな取引先を見つけるため
毎日何社もの会社に電話をしては訪問し、
自社の商品を案内した。
仕事を楽しいとはとくに思わなかったけれど
日々の業務を必死にこなした。
そんなある日
とある会社に訪問していつも通り商品を案内していたら、
お客さんから
「君はどう思う?」
「この業界は今後どうなるの?」
など、質問や意見をしきりに求められるシーンがあった。
彼女は困ってしまった。
なぜなら、
業界の周辺知識も勉強してこなかったし
「周りの意見に合わせる」
そんな生き方が染みついていて
「自分の意見」を言おうと思っても、すっかり口が開かなくなっていたから。
しどろもどろになった彼女を見てあきれてしまったのか、
お客さんから
「君は自社商品以外を何も知らないのか?」
「君には自分の意見が何もないのか?」
と吐き捨てるように言われた。
「ごめん帰ってくれていいから」
とうながされ、
申し訳ありません、と消え入りそうな声で伝えて彼女は外に出た。
会社を一歩出たとたん、悔しくて涙が出た。
自分のふがいなさは十分わかっていた。
電車に乗って会社に戻る途中
上司に報告メールを打った。
「質問にも答えられず、自分の意見も言えず、お客さんを怒らせてしまいました。何も提案できませんでした。」
上司からは
「戻ってきたら少し話そうか」
と短いメールが返ってきた。
会議室で号泣した夜
会社に戻ると彼女の上司が待っていた。
上司は「おかえり」と言って
彼女の顔をじっと見ていたけど、頬にある泣いた痕がバレないことを彼女は祈った。
事の一部始終を話すと上司は言った。
「全然わるくないよ。そのままでいいよ」
てっきり怒られるものかとビクビクしていた彼女は拍子抜けだった。
「でも、あなたは今おさえてる勉強の才能を使ったほうがもっとよくなるね」
過去のトラウマを見抜かれたようで驚いた。
そして勉強を才能だ、
と言ってくれたことに涙が出た。
上司と相談して
彼女は営業スタイルをもっと自分らしく変えていくことにした。
「勉強することが好き」
この情熱を活かして。
お客さんが知りたいと思うことは
すべて代わりに調べてまとめた。
お客さんが知らないけれど、
知っておいたほうが役に立つであろうことを
勉強してレポートにして渡した。
たくさんの情報を集めることも
見やすい形にまとめることも
全然苦ではなく、
本当は得意だったから
お客さんにはとても感謝されるようになった。
自分の意見を伝える訓練は
まだまだこれからも必要だけれど
それを差し引いても
感謝される機会は格段に増えたし、
今までまばらだった売上目標だって毎月達成できるようになった。
何より彼女は
お客さんに求められるようになったことで
「仕事を楽しい」と感じるようになった。
勉強コンプレックスを才能に変えたYさんの事例まとめ
いかがだったでしょうか?
これは私が上司で、
部下だったYさんの実際にあった話です。
Yさんはとても勉強が好きな人でした。
つまり情報をたくさん集めて吸収するのが得意だったんです。
情報を集めるだけではなく
情報を吸収するのが得意ということは
「わかりやすく情報をまとめる」ことも上手だった。
そんな彼女の才能は
社内で仕事をしていても感じていたし
日々の雑談の中で、子どもの頃の話を聞いている中でも十分伝わってきました。
だからそこを強みに変えたかったんですよね。
つい調べすぎることを気にしてなのか
自社商品以外の情報をあまり収集しようとしていないのが私は気になってましたし。
でも私が何より嬉しかったのは、
彼女が強みを活かしてめちゃくちゃ仕事を楽しむようになって
「憧れていた仕事を楽しむ両親の姿」に今の自分がいちばん近い。
って嬉しそうに言ってくれたことです。
あれは嬉しかったなあ。
普通に生きていると、
みんなと違うことはよく否定されます。
だから自分の中ではコンプレックスになる。
けれど「みんなと違う」からこそ、
そこに価値があるんだよ、というお話でした。
コメント
コメント一覧 (1件)
才能を見抜く力がすごいですね。
私は、人の才能を発揮できるように、出来てるだろうかと、考えさせられました。
仕事をする上で、この人は、何が得意で好きなのか、苦手な物は、何かで仕事を回すようにしてはいるけど、人を活かす事、もう一度考えてみます。
みんなが活き活きして、楽しく仕事した方が、絶対いいですよね。ありがとうございます。
愛さんのおかげで、考える事、自身も少し前進出来た事、嬉しいです。ツィーターも、怖かったけど、デビュー出来たし、使い方イマイチ不明だけど。
日々、勉強になります^_^