【感想】「えんとつ町のプぺル」舞台から学ぶ、人の心を動かすビジネスの作り方とは?
こんにちは。土谷愛です。
先日、キングコングの西野亮廣さんが出版された絵本「えんとつ町のプペル」の舞台を観に行きました。
(絵本の全文公開はこちらで読めます)
わたしの感想を一言でいうと、
「世界観は絵本だけど、大人が泣けるストーリー」。
さらに驚いたポイントは、
- 平日の観劇
- チケットは大人8,800円と高め
にもかかわらず、
客席がぎっしり埋まっていたこと。
というわけで、
この舞台から学んだ「人の感情の動かし方」と
そもそも、なぜこんなにも多くの人が舞台を観に集まったのか?
マーケティング目線から考察していこうと思います。
(※一部ネタバレも含むのでご注意ください)
ヒットの理由は「共感」コンテンツ
冒頭で「世界観は絵本だけど、大人が泣けるストーリー」と感想を書きました。
なぜ大人が泣くのか?
それはずばり、
大人が「共感」しやすいストーリーだったから。
つまり言い換えると、
「深く共感すると、人は泣く」
ということなんですね。
これは、ビジネスを作る側としては
すんごく大事な視点です。
実際、わたしは90分の舞台で少なくとも3回は泣いてしまったわけですが、どんなシーンで泣いたか?を思い返すと、こんな感じ。
- ゴミ人間プペルが無視され、いじめに遭うシーン
- 主人公の少年ルビッチが、星を観に行く夢を否定されて「どうして諦めるんだ?やってみなきゃわからないじゃないか!!」と叫ぶシーン
- ルビッチの同級生アントニオが、夢をあきらめないルビッチに嫉妬するシーン
細かいセリフはうろ覚えなのでさておき、
どのシーンも、それぞれの登場人物に
わたしは深く”共感”したんですよね。
(そして涙腺崩壊…)
周りを見ても、泣いている観客(しかも大人)が多かったように思います。
しかし、それもそのはずで、
- 人と違うことで仲間外れにされた悲しさ
- 夢を口にしたら周りに否定された悔しさ
- 純粋に夢を追う頑張り屋への羨ましさ、嫉妬
これって、20年、30年と生きてきた我々大人なら、どこかで感じたことのある感情なんじゃないかな。と思うんです。
例えばわたしなら、
- うまく喋れず友達ができなかった子供時代。
- 売上ビリのくせに「トップ営業マンになりたいです」と口にして、先輩たちにバカにされたこと。
- 起業して自由に生きてる人たちを見て、「羨ましい」と思いながらも動けなかった日々。
でも内容は違えど、こういう挫折や後悔って、
大人になるにつれて増えていくものですよね。
だからわたしを始め、多くの大人の心を打つストーリーになってるんですね。
※実際、この舞台の原作である絵本「えんとつ町のプペル」は、「3万部売れたらヒット」と言われる出版業界でなんと「40万部」という異常な売れ行きだそうです。(2019年時点)
逆に言うと、
少し視点を変えてビジネスを仕掛ける側になってみると、
多くの人が感じたことのある「感情」にアクセスするコンテンツや商品を作ることができれば、異例のメガヒットも飛ばせる。
ということです。
人が動くのは、「共感」をもっと体験したいから。
さらに冒頭で、こんなことも書きました。
今回の舞台は、
- 平日の観劇
- チケットは大人8,800円と高め
にもかかわらず、
客席がぎっしり埋まっていたと。
絵本の舞台というと、
子ども連れのファミリーが中心と思いきや、
客層の多くは大人。
これは一体なぜなのか?
これに対する一つの結論としては、
原作者である西野さん自身が、「共感」コンテンツを日ごろから発信しているから。
だと思います。
つまりここでも「共感」がキーワードになると。
というのも、ざっくり言うと、
- 西野さんは、お笑い芸人キングコングとしてテレビで活躍していたが、数年前に「もうひな壇に出ない」と宣言し、絵本を作り始めた。
- ところが、「芸人がひな壇に出ないとは生意気」「芸人が絵本なんて売れるわけがない」と、芸能界や世間からの批判が殺到。
- それでも「ディズニーを超えるエンタメを作りたい」という夢を語って、その夢を世間に発信し続け、絵本の出版や舞台などを実現させてきた。
…という経緯があります。
※くわしくは彼のブログや書籍など参照
これを見ると、西野さん自身が、
まさに絵本「えんとつ町のプペル」の主人公・少年ルビッチの姿と重なるわけです。
星の見えないえんとつ町で「星を見たい!」と夢を語り、バカにされてきた少年ルビッチ。
「ディズニーを超えたい!」と夢を語り、絵本を作ってきた西野さん。
つまり、おそらく観客は、
舞台を観ながら少年ルビッチを通して
「西野さん」を重ねて一度目の共感を、
「自分」を重ねて二度目の共感をする。
・・・という「共感」の二重構造になっているのかなと。
多くの人が、
この深い「共感」を体験するために、絵本のみならず足を運んで舞台を観に行った。
というわけですね。
共感したい。
感情を揺さぶられたい。
これらは、人の普遍的な心理です。
日常生活においてとくに大人は、
社会の中で、感情を抑えることに慣れていて、ここまで感情を揺さぶられる機会が少ないでしょう。
ゆえに、
わざわざお金を払ってでも思いっきり感情的になりたい。
こういうニーズがかなりあるのかなと。
なぜ平日の舞台が満員になるのか?
最後にもうひとつ。
なぜ、西野さんが「深く共感したい大人たち」を大量に呼び寄せることができたのか?について。
その答えはシンプルで、
「共感コンテンツ」をインターネット上で公開したこと。
ここにあると思います。
西野さんは、
絵本「えんとつ町のプペル」も無料公開しているし、
←ここで夢見る主人公ルビッチへの共感を。
ビジネス書「新世界」も無料公開されてます。
←ここで西野さん自身への共感を。
多くの人がネットを通じて
これらの「共感」コンテンツに触れる。
そして、さらに「深く体験したい!」と感じた人たちが、舞台に直接足を運んだ。
こんなからくり。
ビジネスを仕掛ける側の目線で言うと、
無料コンテンツであろうと
いかに人の感情を動かすか?
結局は、これがファンを生み、顧客を動かすきっかけになるということ。
そのためには、
- 顧客がどんな人なのか。
- 日々どんな感情を抱いているのか。
ここをきちんと理解することが、
売れるビジネスを作る鍵になります。
というわけで、
舞台「えんとつ町のプペル」をマーケター目線で語ってみました。
ぜひ参考になれば嬉しいです。
PS.
役者さんも、舞台セットも、
めちゃくちゃリアリティがあって
素敵な舞台でした(^^)
2020年末にはまた別のストーリーを描いた映画が公開されるそうなので、また観に行きたいな~と思います。楽しみ。
ちなみに、劇中で歌ってたこの曲が
帰宅後からずっとエンドレス脳内リピートされてます。
見事にマーケティングされている。笑
でもいい曲です。
人を動かすビジネスの作り方については、この記事もおすすめです。
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